ことばの栞 20231029

「すべての教会がよろしく」
 パウロの手紙の終わりの4つの話題のうち、今回は相手への挨拶について記されています。このあいさつの言葉の裏に託されたパウロの、また現地教会の人々の思惑をともに学びましょう。

 まずこの手紙を届ける女性、フィベを推薦します。ケンクレアの教会の執事ですが、読み手の人々がこのことを知るのは、この部分を読んだ時になるでしょう。パウロが遣わした人を「なぜ女性なのだ、もっと側近を送るべきではないのか」と感じた人もいたかもしれません。
 パウロは彼女を主にあって歓迎してほしいと続けます。主にあって教会の交わりと励ましのためにフィベを受け入れ、適切なところで助け合い、必要を満たしあうことこそが、宣教協力のかたちなのです。

 続けて、ローマの教会に訪問したことのないにも関わらず、多くの人々によろしくと伝えます。別の街で出会い、主にある交わりをし、ともに労苦している者たちを、同胞、同労者と呼びました。
あいさつで名前を挙げられた人々は民族、性別、社会的立場に違いはありましたが、パウロにとってはみな同労者でした。

 手紙の文面でしかあいさつができないパウロですが、出会う人々には聖なる口づけをもってあいさつをしなさいと語ります。それはそれぞれの文化の中で、神の前にふさわしい配慮をもって互いを受け入れ合いなさいというアドバイスでした。

 パウロが宣教していた異邦人のすべての教会たちはこの地を離れるパウロを委ねる思いでよろしくと伝えます。それほど多くの人との関わりの中でパウロの宣教は備えられてきました。そして教会の宣教の協力の中で主の計画は新しい段階へと進んでいくのです。