ことばの栞 20230604

「御霊のとりなし」
 未信者の方々にはキリストを信じ、御霊の働きを受け入れたキリスト者は平安が与えられ、悩むことがなくなると考える人もいるでしょう。しかし、実際にはキリスト者たちの悩みがなくなることはありません。むしろ信じるからこそ、悩みが増えていく人もいるほどです。
 他者と関わることで悩みが増えるのは自然なことです。距離感を保ちながら関わるなら、避けたり諦めたりすればよいのですが、夫婦や親子のように避けられない関係、諦めたくない関係だからこそ、どのように接するのか、応じるのかを考えているのです。

 パウロはキリストを信じ、御霊の働きによって神の子とされるキリスト者たちの望みだけでなく、信じて関わるがゆえに抱えている悩みや苦難、それらによるうめきも目を向け、その両方が共存するものだと語ります。
 悩み苦しむ時に祈りの言葉にならないうめきを、御霊は整理したり、切り離したり、加えることなく、うめきのままとりなし、神に伝える働きを担っています。神が人間の心を探ろうとされたとき、御霊が私たちの形にならない思いまで代弁してくださることで、何一つ変わることなく、神にお委ねすることができるようになりました。

 神は計画をもって私たちを召し、背いてもなお悔い改めとキリストへの信仰によって義と認め、終わりの日に神の子としてキリストと同じ栄光を与えてくださいます。この望みはこの世で受ける苦難とは比べ物にはなりません。
 私たちはこの世の困難や自分の内の苦しみに一人で立ち向かおうとしなくてもよいのです。御霊が神へととりなしてくださるのですから。