ことばの栞 20230312

「約束実行力」 
 信仰による義を語られる中で、パウロの議論は、アブラハムのどの信仰と約束を切り取っているのかに注目していきます。

 アブラハムは神との契約においてアブラハムとその後の子孫との間に、永遠の契約として立てられ、神はアブラハムと後の子孫との神となると宣言されました。当時、約束の地はカナンの全土でしたが、パウロはキリストの到来によって、その地は広げられ、天の御国を受け継ぐ相続者とされたと理解しています。

 神に対する信仰は、神の救いの保証のない時に、神に望みを抱いて認めることです。その結果、神の愛の働きを恵みとして受け取らせます。100歳になったアブラハムは若い時に動けていた状態と衰えている自分を知ったおり、妻のからだの状態も妊娠できるような状態にないことを理解していました。

 自分や妻の弱さを認めたうえで、互いを愛し合っていたことでしょう。その中で子どもが与えられたことで、この出来事を神の恵みと希望のしるしとして受け止めることができ、生まれたイサクを神にささげるほどの信仰が備えられていきました。

 この信仰はパウロの時代にも、現在の私たちに至るまで適用されています。パウロはアブラハムが信じた神とキリストをよみがえらせた神が同じ神だと語ります。唯一の神であるからこそ、時代を超えてもなおも変わらず信仰によって義と認め続けてくださっているのです。

 キリストが神から与えられた役割を全うされ、神が約束された内容の実現のために働かれたからこそ、私たちはキリストを信じることを通してアブラハムと同じ信仰、救い、相続に与ることができるのです。